先週飛び込んできた衝撃的なニュース、
それはPANTERAやHELLYEAHで活躍した、
ドラマーのヴィニー・ポールが死去したというニュースでした。
現地時間6月22日に死去、54歳とまだ若く、
残念で仕方がありません。
PANTERA、DAMAGEPLAN、HELLYEAHで活躍し、
「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマー」において26位にもなった
偉大すぎるドラマー、ヴィニー・ポールとそのバンドについて今回は振り返ってみようと思います。
ヴィニー・ポール、本名ヴィンセント・ポール・アボットは、
1964年3月11日テキサスで産まれ、
カントリーミュージックの作曲家である両親の元で育ちました。
そして1981年、テキサス州ダラスで弟とともにPANTERAを結成。
弟というのはもちろんダイムバッグ・ダレル。
ダイムは数々のギターコンテストに出場し多くの賞を受賞するほどで、
「コンテスト荒らし」の異名を持つほど。
Metal Magic、Projects in the Jungle、I Am the Nightと自主レーベルにてアルバムがリリースされますが、
初期のサウンドは特徴的なあの重々しいサウンドではなく、
メロディアスな超正統派のメタルでした。
(あまりにサウンドが違うためか公式サイトでもこれらは掲載されておらずCDの入手も困難です。
youtubeで聴くことは可能ですが…)
しかし1987年にフィル・アンセルモが加入したことで話は変わってきます。
4thアルバムPower Metalこそまだ正統派サウンドですが、
前作までよりもヘヴィな音に変化していき、
遂にメジャー・レーベルと契約、
1990年には5thアルバムのCowboys from Hellをリリースします。
この前年にはダイムがMEGADETHに誘われていましたが、
兄のヴィニーもドラマーとして参加することをダイムが要求したため実現せず。
もし実現していればPANTERAという存在はなかったかもしれません。
そして1992年、Vulgar Display of Power -俗悪-がリリースされたことでメタル界に革命が起きます。
グランジ勢におされてかつての勢いがなくなっていたメタル界ですが、
今までのメタルの常識を取り払い、
ヘヴィで激しく、ミドルテンポで圧倒的な攻撃力を生み出し、
グルーヴ・メタル(日本ではモダンヘヴィネス)というジャンルを生み出すに至り、
アルバムも大ヒットします!
あまりに革新的なサウンドで、
正統派のバンド達もこのグルーヴ・メタルを取り入れ、
正統派を望むファンには敬遠されてしまうことも…。
メタル界に革命を起こしたPANTERAですが、
フィルのドラッグ、アルコール、そして自身のサイドプロジェクトの問題から、
ヴィニー、ダイムのアボット兄弟との軋轢が生まれ、
2003年には解散することになってしまいます。
2003年にはアボット兄弟とヴォーカル、パトリック・ラックマン(なんとHALFORDのギタリスト!)
ベースにボブ・ジラを迎え、
新たなるバンドDAMAGEPLANを結成。
PANTERAに正統派HMのスタイルを取り入れたサウンドで期待されましたが、
2004年12月8日、ライヴ中にダイムが射殺され、
ヴィニーも肩に銃弾を受けてしまいます。
このことによりDAMAGEPLANは解散し、
ヴィニーは長い間落ち込むこととなりますが、
2006年にHELLYEAHを結成し、
ツアーで何度も日本を訪れまだまだ活躍していってくれると思っていたのですが…。
ヴィニー・ポールと言えばやはりギター、ベースに負けないくらいの
強烈な存在感を誇るドラミングです。
フィル、レックス、そしてダイムの凶暴な音がありながらも、
圧倒的破壊力のドラミングで全てをまとめ上げてしまう、
ヴィニーがいなければ俗悪のサウンドもまた違うものとなっており、
90年代以降のメタル界もきっと違ったサウンドになっているはずです。
今週末葬儀が行われ、
KISSのロゴや写真が装飾され、
ポール・スタンレーとジーン・シモンズが贈呈したという、
KISS特製の棺で埋葬されると言うことです。
(ダイムもKISSの棺で埋葬されています)
ヴィニー自身、葬儀ではガンズの1st、Appetite For Destructionを流して欲しいと語っていました。
あまりにも早すぎる別れとなりましたが、
天国で弟のダイム、そして天国の偉大なミュージシャン達と熱いセッションをしていてくれれば…。
そう思わずにいられません。
俗悪の歌詞カード内の笑顔でドラムを叩くヴィニーの写真がすごく印象的ですが、
あんな笑顔でいま天国にいるのでしょうか…。